2023.11.02

花巻スペースプロジェクト「UP花巻」とは?【2/3】

~UP花巻を構成する2つのプロジェクト~

花巻スペースプロジェクト「UP花巻」は「衛星開発プロジェクト」、「地場産業プロジェクト」の2つからなり、宇宙を利用して地域を盛り上げるプロジェクトです。どちらのプロジェクトも最終的には将来の花巻、日本を担う若者たちが活躍することができることを目的にしています。こちらでは「衛星開発プロジェクト」について紹介いたします。

 

未来の花巻、日本を担うリーダーを育てることが最終目的

 

■衛星開発プロジェクト

2024年に人工衛星「YODAKA」打ち上げを目指すプロジェクトです。本プロジェクトに参加している花巻北高では衛星開発を見守るだけでなく、生徒たちも宇宙とは何か、人工衛星とは何かを考えるワークショップやイベントをSpace BDによって実施、「世界で一番宇宙に近い高校生」になるべく様々なことにチャレンジしています。「YODAKA」にはその花巻北高の生徒が考えたミッションを搭載することを予定しています。プロジェクトには東京大学大学院工学系研究科中須賀真一教授と岩手医科大学薬学部阪本泰光教授がメンバーとして教育プログラムのサポートを行っています。

 

(衛星のミッションを決定したミッション決定会の集合写真)花巻北高の全校生徒がプログラムに参加する。

 

(ミッション決定会でのシーン)衛星のミッションは生徒のプレゼンによって決定された。

 

(CanSatワークショップの様子)全校生徒で行ったCanSatは白熱。

【衛星開発プロジェクトのこれまでの歩み】
◇プロジェクトの始まりとして、SPACE VALUE安藤が花巻の衛星を作製することを強く願っていたことから、6Uというサイズ(10cm×30cm×60cm)の衛星を作り、花巻のために利用することを決めていました。

◇人工衛星の開発と共に教育プログラムを行うことを決め、対象となる高校を探している中で、花巻北高の当時の川村校長から「こういうプロジェクトこそ我々がやりたかったことです、ぜひ一緒にやりましょう」と、一緒に宇宙教育プロジェクトを行うことについて快諾いただきました。

◇東京大学大学院工学系研究科中須賀真一教授が、宇宙・宇宙開発まつわる講義やCanSatと呼ばれる模擬衛星教育プログラムを実施、高校生たちの衛星開発に関する理解をサポートしています。

◇岩手医科大学薬学部の阪本泰光教授のサポートにより宇宙環境を利用したタンパク質結晶化プログラムを行いました。2022年11月、花巻北高校の生徒が調製したサンプルを使って、国際宇宙ステーション「きぼう」日本実験棟で結晶化実験を行い、2023年1月に地上に帰還したタンパク質結晶を用いてX線回析を実施しました。

◇教育プログラムとしては、花巻北高の生徒にSpace BDが行っている教育プログラムを提供し、宇宙、ビジネス、キャリアをテーマにさまざまなプログラムを行っています。JAXA(宇宙航空研究開発機構)職員や大学の先生方をお呼びしての講演会、東京の宇宙ベンチャーに訪問するプログラムなどを提供しています。

◇人工衛星「YODAKA」の名称命名やミッションは、2022年4月に花巻北高の生徒がプレゼンテーション大会を行って決定しました。ミッションは、花巻北高校から衛星短歌の上の句をデータ通信し、下の句を他のエリアの高校生から募って短歌を完成させるというものです。高校生たちが衛星でどんな面白いことができるかと考えたアイデアが実際の衛星のミッションとなりました。

◇それ以外にも「YODAKA」による地球の撮影や、植物の活性度がわかるセンサーを搭載しての農業への利用実験、アート活動での活用などを想定しています。衛星は2024年春ごろに完成を予定しており、夏ごろにロケットで国際宇宙ステーションに届けてそこから衛星を地球周回軌道に投入します。衛星の通信が取れれば、ミッションを実施していきます。

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