岩手県立花巻北高等学校では、2022年の「ミッション決定会」で当時高校2年生だった高校生がプレゼン大会を勝ち抜き、人工衛星YODAKAを使ったミッション「短歌ミッション」が選ばれました。そこから、約3年が経ち後輩たちにそのミッションが引き継がれ、主にそのミッションに取り組む同校生有志の団体「銀河の筆」メンバーが、試験電波を使用して、YODAKAへ短歌の情報を送るアップリンクを体験しました。
通信機は片手で持てるほど小型で、衛星の開発・製造・運用を担当するアークエッジ・スペースの監修の元、11月に銀河の筆のメンバーが製作したものです。通信機の技術的な操作は無線従事者であるSpace BD社員が行うことになりますが、衛星がいるであろう場所を推測して通信機を空に向ける作業は高校生たちが担います。事前にそのレクチャーが行われました。
アップリンクはYODAKAが日本上空を通過する時に可能になるので 、まずはその日の通過ルートを確認します。YODAKAは地球を約90分で一周するスピードで、一周ごとに約22.5度西に移動するため、通信が可能なのは決まった日時で、なおかつ最大でほんの10分程度。事前の綿密な計画が必要です。通信機をまっすぐYODAKAへ向けて試験電波を送るために、地平線から現れる方角と時間、その時の頂点の方角と角度と時間、そして地平線に沈む方角と時間を確認し、学校の屋上で目印になるものを探しながら通信機を向ける方向を覚えます。
YODAKAが地平線から現れる時間が来たら、無線従事者あるSpace BD社員が通信機のスイッチを入れ、高校生たちが(小さくて)目には見えないYODAKAがいるであろう方向に通信機を向けます。障害物や天気などにより、通信品質は左右されます。地上から人工衛星への通信実験という貴重な体験をすることができました。
今後はYODAKAと送受信した上句と下句を組み合わせて短歌を完成させ、歌人の木下龍也様に秀作を選出いただきます。その他にもUP花巻プロジェクトオーナーによる選出、花巻北高全校生徒からの投票によって選出する短歌を決め、これまで衛星開発プロジェクトを行った3年間のプログラムを締めることになります。
最後の締め「短歌発表会」イベントの模様も今後レポートしていきますのでお楽しみに。
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