2022年から始まった岩手県立花巻北高等学校(以下、花巻北高)におけるスペースプロジェクト。このたび、花巻北高の生徒たちが考えたミッションとして、全国及び海外から募った短歌の上の句と、花巻北高の生徒から募った下の句を人工衛星YODAKAに地上から別々に送信し、偶然に出会った組み合わせで短歌(連歌)を完成させるという「短歌ミッション」を実施しました。完成した短歌の発表と、これまでのスペースプロジェクトの成果を発表する会を2025年2月20日(木)に歌人・木下龍也氏を招いて同校にて開催しました。
最初に、UP花巻プロジェクトを発足したプロジェクトオーナーであり花巻北高OBの安藤修一氏から挨拶があり、スペースプロジェクトの3年間を振り返り、このプロジェクトの成り立ちから未来に向けたお言葉をいただきました。
その後、花巻北高の生徒を代表し、短歌ミッションを実行するために集まった有志チーム「銀河の筆」メンバーによる、これまでの活動報告が行われました。発表ではUP花巻プロジェクト発足時の安藤氏の努力、花巻北高での宇宙ワークショップの取り組み、短歌ミッション実施に関する「銀河の筆」の活動、そしてプロジェクトを通じての花巻北高での学びと未来に向けた決意表明が行われました。
東京大学や岩手医科大学ほか、さまざまな企業、団体からの協力をいただきながら進めてきた花巻北高におけるスペースプロジェクトの活動は、花巻北高の生徒に「宇宙への関心」「花巻市の魅力気づき」「高校生の可能性の再認識」を与える良い機会となったことを再認識させる発表でした。
次に、完成した短歌の発表が行われました。
上の句は、全国および海外から413句応募があり、国内は地元岩手を含む34都道府県から、海外は中国、アメリカ、パナマ、オーストラリア、ラトビアの5か国から応募がありました。下の句は花巻北高の生徒から430句の応募がありました。人工衛星の姿勢、通信状況、送信タイミング等が折り重なって宇宙空間にたどり着いた順番で上の句と下の句が独自に組み合わさり、最終的に307首の短歌が誕生しました(一部下の句の重複あり)。
今回、この307首を歌人・木下龍也氏に品評いただき、奇跡的に出来上がった307首の中から9首(木下龍也賞)が選定されました。また、UP花巻賞として安藤氏から1首、花巻北高賞として全校生の投票により1首の、合計11首の秀作が選定されました。別々の人が作ったとは思えない短歌がたくさんあり、 参加者は選ばれた短歌の品評に熱心に耳を傾けていました。
(結果は「【受賞作品発表】YODAKAによる宇宙短歌ミッション」記事参照)
受賞者には、記念品として完成した短歌が書かれた盾と木下龍也氏のサイン入り著書が贈呈されました。
今回の発表会で人工衛星「YODAKA」に関係する衛星開発追体験プログラムおよび短歌ミッションは一区切りとなります。このUP花巻プロジェクト発足時に目入れをしたダルマの右目に、木下龍也賞に選ばれた生徒と花巻北高校長先生によって目入れが行われ、最後には参加者で記念撮影を行い、3年間にわたるプロジェクトを締めくくりました。
この3年間の花巻北高の生徒たちの学びは世界的に広がっているSTEAM(Science, Technology, Engineering, Art, Mathematics)教育の一環であり、また宇宙開発を切り口にしたビジネス教育、社会の仕組みや法律を学ぶ機会ともなっており、文系理系の枠を超えた貴重な学習につながっています。今後もUP花巻では花巻の魅力を全国・海外へ再発信、未来の花巻のリーダーの育成を目指します。
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